エンジンは車の原動力です。これがなければどのような華麗なボディをまとっていても単なる鉄屑にすぎません。そうした意味で内燃機関はその車のすべてを象徴しうる心臓部と考えてよいでしょう。そしてこの機構は人類の英知の結晶でもあります。素人目に見ると、なんだか訳のわからない装置がごちゃごちゃとついていて、振動や音が大きく、排気ガスは排出するし油まみれであり、とても「美しい」ものには見えないかもしれません。しかし一つ一つの部品がどのような役割を持ち、どのような意味を持っているのかを知れば知るほど、それがいかに無駄なくスマートにそして精密に組み上げられているか、驚嘆せずにはいられないと思います。直列式の力強く巨大なシリンダーブロック、2本のヘッドカムを誇らしげに包み込むDOHCのヘッドカバーに刻み込まれたメーカーのロゴの誇らしさ、滑らかな吹け上がりを示すV型のエグゾーストノート、低重心を誇る水平対向型の平べったさなど、機械メカニズムの美しさにいったん魅せられてしまったら、なかなか抜け出すことが難しいかもしれません。今まで不快な雑音にしか聞こえなかった音が、非常に繊細で美しいサウンドに変化して聞こえることの面白さをぜひ味わってみてください。